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彼の大きな手のひらに慎重に自分の手をすべり込ませると、ギュッと握られる。
まるで心臓を鷲掴みされたみたいな感覚。
指先から電気が走って一瞬息が止まるかと思った。動悸がして苦しい。
"手を繋ぐ"
ただこれだけのことなのに、乙女のような感情が湧きあがり身体中が熱い。
ど、どうにかなりそう……。(本日二回目)
「耳、真っ赤」
「うるさいっ」
茶化す小笠原を牽制しても。
「お前、口悪いな」
そう言って笑うだけ。
部屋に行くまでの間、小笠原は時々あたしを振り返っては愛おしそうな顔をみせる。
その度にドギマギしてどんな顔をすればいいのかわからなくて。
巧く使えない自分の表情筋に心で舌打ち。
「な、何ですかっ?」
「なんでも」
何故か怒り口調のあたし。
もっと素直になればいいのに、全然なれない。
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