信じるということ・2

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彼の大きな手のひらに慎重に自分の手をすべり込ませると、ギュッと握られる。 まるで心臓を鷲掴みされたみたいな感覚。 指先から電気が走って一瞬息が止まるかと思った。動悸がして苦しい。 "手を繋ぐ" ただこれだけのことなのに、乙女のような感情が湧きあがり身体中が熱い。 ど、どうにかなりそう……。(本日二回目) 「耳、真っ赤」 「うるさいっ」 茶化す小笠原を牽制しても。 「お前、口悪いな」 そう言って笑うだけ。 部屋に行くまでの間、小笠原は時々あたしを振り返っては愛おしそうな顔をみせる。 その度にドギマギしてどんな顔をすればいいのかわからなくて。 巧く使えない自分の表情筋に心で舌打ち。 「な、何ですかっ?」 「なんでも」 何故か怒り口調のあたし。 もっと素直になればいいのに、全然なれない。
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