信じるということ・2

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そんなの決まってる。 あたしが素直になれる言葉をくれればいいだけ。 「………って言って」 「あ?」 至近距離なのに届かないあたしの声に屈む小笠原。 気持ちの中では威勢がよくても緊張で震える唇。 その唇をできるだけ背伸びをして小笠原の耳元へ。 「好きって、……言って」 こんなこと、男の人におねだりするのは初めてで。 でも、どうしても聞きたい。 聞いて安心したい。 「あたしのこと好きなら、好きって言ってください……」 ──言っちゃった。 ここまで男の人に執着して欲しがるのははじめてかも。 「そこ、必要なのか」 肝心なところで甘さを欠くのが小笠原。 もう、ムカツクッ 「必要ですっ 何にでもケジメってあるでしょう!? そうじゃなかったら、なんであたしを誘ったんですかっ 簡単についてくるからですかっ」 「ぷっ、お前全然簡単じゃねぇだろ。 これでも惚れた女を部屋に連れ込むのに試行錯誤してんだ。 ちょっとはわかれよ」 ───え?
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