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本当、確かにその通り。
なかなか本性を見せない小笠原。
おかげで真意がわかるまで随分手こずったもの。
でも、きっかけは。
「詩織によーく考えろって言われて考えたって」
「あたしっ!?」
「そうらしいよ。
詳しいことは聞いてないけど、イイ女だってあんまり誉めるから追及したら、そう白状してたもん」
「やっだ、何ソレ」
あの時のやり取りは今思い出しても胸を疼かせる。
「もしかして嫉妬した?」
「し、してない」
「……したな、その顔は」
むうぅぅ。
やっぱり詩織には隠してもバレるようにできてる。
「本当に先生のこと好きなんだね」
「え、いや、あの、」
改めて言われるとかなり照れる。
もう隠しようのない気持ちは身体中からあふれて駄々漏れだ。
顔から火が吹いたみたいに赤くなったあたしを、また詩織がからかう。
あぁ、最近のあたしは乙女モード全開だわ……。
詩織が手直しして数段美味しくなったキムチ鍋も減って、ビールでほどよく酔いがまわった頃。
「詩子、幸せになってよね」
詩織がポツリ、言う。
その顔に嘘はない。
本当にあたしの幸せを願ってくれる友人。
小笠原が言うとおり、イイ女だ。
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