最終章

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室長に信じるってことを教わって。 自分の中の信じる力を見つめてみた。 そうしたら、案外答えはすぐそこにあって。 あれからあたしは強くなったような気がする。 揺れなくなったような気がする。 全部全部、室長のおかげだ。 「室長、ありがとうございました」 「なんだよ、急に改まって。 槍でも降ってくるんじゃないだろうな」 そんな冗談で笑わせようとする室長。 でも。 これだけは言わせて。 「今、こうしてられるのも室長のおかげです。 本当です。ありがとうございました」 深々と頭を下げると、おいおいっと室長があたしの肩をなでるようにたたく。 「俺は何にもしてない。 全部お前の力だ。本当だぞ」 そんな優しいことを言われたら──。 緩みっぱなしのあたしの涙腺はすぐに決壊。 「な、泣くな、下川っ」 慌てふためく室長。 でもこればっかりはしょうがない。 強がりしか知らなかったあたしは、弱みを見せてもいいんだってこと、知っちゃったんだもの。 ──で、まさにこんな時。 タイミング悪くやってくるのが小笠原で。 「下川、まだいたな──」 泣いてるあたしを見て形相が変わる。
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