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何勘違いしてるんだか。
そう反論しようとしたら、小笠原の唇が近づいて塞がれた。
甘い感触。
ほどよく抱きしめる締め付け感が、たまらなくあたしを痺れさせる。
あたしはシャツを握りしめて背の高い小笠原をさらに引き寄せた。
確かめるようなキスはデザートで食べたフルーツの味と煙草の香り。
もう、余計な言葉はいらなくて蕩けるだけ、……なんだけど。
何かが引っかかる。
「もしかして、」
重なる唇が深くなる前にあたしは尋ねた。
「逆?」
「何が」
「嫉妬」
途切れ途切れに交わされる言葉で核心を突くと、小笠原の身体が固まった。
「ホントは先生の方が嫉妬してたんでしょ?
で、それをごまかすために、あたしにあんなこと──」
フイッと視線が外れて身体も離れた。
不機嫌顔になった小笠原。
「……んなわけあるかっ」
──図星、だな。
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