1人が本棚に入れています
本棚に追加
ココに生まれて━━発生したの方が正しいかもしれない━━初めて口を開く。
「あなたのナカでうまれたのは、イチバンあんぜんなトコロだったからですか?」
神は深く頷いた。
「それだけではありません。
私がそう望んだのです」
見れば女の瞳は、興奮して潤んでいるようにも、憐れみ、哀しんでいるようにも見えた。
「私の腕に抱かれて御生まれになって頂きかったのです」
そうか、と。
あの時の、何かに抱かれるような感覚は、この神のものだったのかと得心した。
静かに、神に向かって微笑む。
神も微笑み返すと、静かに目を伏せ、女の身体は崩れ落ちていっ
た。
ヤマトはただ、それを静かに見詰めるだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!