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それから…
吉田さんについてあらかた話すと、掌を額に当ててため息をつく土方さん。
…本当に大丈夫?
見える顔色も心なしか悪い。
…あっ!
「大和屋焼き討ちっ!」
「あ゛ぁ?!」
当たり!
確か政変の5日前くらいに芹沢が、生糸問屋の大和屋を焼き討ちにしてしまった事件があった。
ていうか、ここ最近の厄介事と言ったらそれくらいだ。
散らばる書面に、顔色の悪い土方さん。
多分、いや確実に疲労の原因は芹沢絡み。
「…もしかして容保公から正式な暗殺命令でも出されちゃいましたか?」
「………。」
うん、沈黙は肯定と取ろう。
「…御愁傷様です。」
憐れみを込めて言うと、おもいっきり舌打ちで返された。
すっかり忘れてた。
その時には幕末にいた私だけど、そんな余波は全く清水屋に来ず。
お客さんの話す噂話を小耳に挟んだくらいだった。
あの時何してたんだっけ。
んー…政変の4日前だから………………あれっ!?沖田さんと密会した日だよね!?
「つ、つかのことお聞きしますが、その日は沖田さんは何をしてらっしゃって…?」
おずおずと聞くと、
「…あ?あいつならまだ後処理残ってるっつーのに次の日の昼前にはとんずらこいてたぞ。」
「………。」
隊務サボって来てたんかい!!
ブツブツ沖田さんの愚痴を言う土方さんに冷や汗が出る。
ぜ…絶対言えない…。
ていうかあの日のことは2人だけのひ、秘密だったよね……?
「…何顔赤くしてんだよ。」
「ひやっ?!え、あっ!何でもないです!」
吃驚してつい大声を出してしまったら、土方さんは顔をしかめて、
うるせぇ、頭に響く…
と仰られた。
…よし!決めた!
今こそ頑張り時だよね!?そうだよね!?
あの土方さんがお疲れになってるんだ!
私がそのストレスから解放しないで誰がする?!
途端にいい案も思いつき、いてもたってもいられなくなった。
スクッと立って、
「失礼します土方さん!いい作戦を思い付いたのでお任せ下さい!そうと決まったら早速沖田さんの所に行ってきます!!」
「おいっ?!てめぇら二人が揃うとろくなことねぇんだよ!ちょっ、まだ話終わってねぇっ!」
後方でまだ土方さんが喋ってるような気がしたけれど、しっかり襖を閉めて、沖田さんのいるところへと急いだ。
うんうん、やらなきゃいけないこと、見つけた!
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