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なんせ今の私は全身血まみれ。
いや、ケガしてるわけじゃないんだけどさ。
白の仕事着はもはや白の部分が赤ばっかり。
髪の毛も血でギトギトだ。
これらは全て返り血によるもの。
はぁ。早くお風呂に入りたい。
「さぁ、早くおいとましましょう?輝世様の綺麗な橙色の髪の毛も、真っ赤です。帰ってお風呂に入らなくては。」
そう。私の髪の毛は地毛にもかかわらず、橙色。
目もかなり薄いブラウン。
おまけに肌も色素が薄い。
こんなんだから、よくハーフかと思われるけど私は列記とした純日本人だ。
これは私がアルビノのせい。
と言っても、そんな私はアルビノっぽくないんだけどね。
髪の毛白くないし。
まあ、とにかく。
血で体が気持ち悪い。
早く帰らないと。
「じゃあ、行こっか。」
「ええ。」
「もう迎えはきてるの?」
「はい。もちろんでございます。表に。」
「そ。さすがね。」
「恐縮でございます。」
軽く誉めただけなのに、紅は仰々しく頭を下げる。
この完璧な主従関係も、私の生まれたときから何一つ変わっちゃいない。
紅は私より11才も歳上の30才なのに、だ。
ていうか、こんなこと考えてるうちにどんどん時間ロスしちゃってるや。
そうやって歩き出す前に、改めて今いる部屋を見渡すと、こりゃひどい。
もはや悪臭漂ってるし。
思わず顔をしかめる。
それは部屋を出て、廊下に行き当たっても変わらなかった。
「…随分派手にやったのね。」
「恐縮でございます。」
「いや、誉めてないんだけどね。」
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