【序章】生命の重さは……

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「長の言うとおりだってのかよ……」 「かもな……。だが認めない。諦めるわけにいくかよ」  ガイゼルにそう返すレイモンドの口調には苦渋がにじんでいた。  『長』とはふたりが共に育った集落の長老のことだ。 『大勢集まっては、標的になる。小さな集落に分かれて暮らし、襲われた際の犠牲を抑えるしかないのじゃ。人間を滅亡させぬためにのぅ』  その言葉に納得できず、ふたりは武技を磨き、仲間を集め、村を築いた。  人らしく生きる場所を作りたかったのだ。  幾重にも柵を拵え、見張り櫓を建て、砦と称してもいいほどの村だった。  だが、半年……。たった半年でその村は蹂躙された。
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