【序章】生命の重さは……

6/16
前へ
/35ページ
次へ
 予想を遥かに越える数の暴力を前に、守りきるのは不可能だった。  彼らの自信は粉々に打ち砕かれたのだ。  生き残った仲間を逃がし、ふたり以外の守人を護衛につけ、ふたりだけが村に残った。逃げ延びる時間を稼ぐために……。  守り抜くことはできなかった。だが……、これ以上犠牲を増やすわけにはいかない。 「行かせない……。この先には絶対に進ませない……」  静かに宣言し、レイモンドは掌中に出現させた灰色の煙状の玉を地面に叩きつける。  小さな破裂音とともに、灰色の煙が湧き上がった。  それと同時にガイゼルが息を吐きかけ、一気に広がった煙幕が魔物の群れを押し包む。  対象の視界を奪い、動きを阻害し、混乱に陥れる……。  そうしてふたりはそれぞれに得物を手に、煙の中へと突入していった……。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加