【序章】生命の重さは……

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 小さな頷きをを何度か小刻みに繰り返すレイモンド。  それは納得しきれない承諾の所作だった。  長い付き合いのガイゼルもそれは分かる。  わずかに苦笑して、目だけで感謝の意を伝えると、術の使用に備えて集中する。  大きく息を吐くとそのまま吸気につなげた。  属性“息吹”。ガイゼルのソレは肉体強化に特化している。  その奥義ともいえる術発動だ。  空気中に存在するといわれる術法を顕在化させうる素となる物質。  それを半ば無理矢理に体内に取り込み、力と為す。  下腹の辺りに一旦溜めた力を全身に開放する。  ガイゼルの筋肉が一回り太くなり、褐色の肌が赤く変色していく……。  『鬼人化』とふたりは呼んでいる。
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