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「ヘッ……。待たせたな……」
口元の血を拭い、ガイゼルが炎の一角鬼を睨み付けた。
一角鬼はガイゼルの変貌を見届け、口を歪ませてみせた。
『無駄だ』とでも言いたいのだろうか。
だが同時にレイモンドは、人の持つ力を見極めているようにも、一瞬感じた。
まあ、魔物の意思など人に分かるはずもないが……。
「骨は拾ってくれよな……」
レイモンドにそう呟き、ガイゼルは地を蹴った。
超重武器であるはずのポールアックスを片手で振り回し、獣のように吼える。
「……んな余裕あるかって……」
駆けていく友の背中に対して、苦笑混じりにツッコミを入れはしたが、レイモンドには分かっていた。
『魔人化』したまま戦い続ければ、骨すら残りはしないだろう……。
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