【序章】生命の重さは……

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「義兄(あに)になろうって男を差し置いて、ひとりカッコつけてんなよな……」  この期に及んで、そんな台詞を吐き捨てられるレイモンドもまた、覚悟を決めていた。  カチャリと長剣を握りなおし、柄を額の前に掲げ上げる。  水平に伸びた刃を一瞥すると、魔力をノせた咒言を唱えた。  その咒言に反応したのは長剣の柄。  まるで植物の根のようなモノが十何本も生え、それがレイモンドの右腕に絡み付き、突き刺さり、潜り込む……。 「アグッ……ゥグ……」  堪え難い激痛と共に襲ってきたのは、えもいわれぬ脱力感だ。  だがその代わりに起こった現象は劇的だった。  長剣の刀身が眩しいほどに輝き出す。  その色彩は緑。魔物の力の対極に位置するといわれる“大地の力”特有の輝きだ。
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