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かざした左手越しに見上げた太陽は眩しく、輪郭を見極めるのすら困難だった。
だがその陽光は暖かく、目を閉じればそのまま大地に抱かれて眠ってしまえるだろう。
上空では二羽の鳶が別々に弧を描きながら、小さな声を上げている。
旅には最も適した季節であり、ほどよく乾いた気持ちのいい風が少し濃いめの茶色い髪を撫でてゆく……。
しかし、そんな季節の息吹を楽しむ余裕など彼女にはなかった。
「…………」
無言のまま視線を地上に向けたその顔は険しい。
彼女の名はキャスティン・ソロー。
大事な役割を担い旅を続ける十八才だ。
その若さと美しい容姿からは想像できないほどに洗練された力を有するキャスティンだが、今その顔に浮かぶのは戸惑いだった。
「……どこで間違ったというの? 父さんの情報に誤りがあるはずもないのに……」
応える者もなく呟き、キャスティンはその場に立ち尽くす。
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