【幕の一】惨劇の跡

10/11
前へ
/35ページ
次へ
「そいつはないな。どっちかといえば、こんなとこでじゃれ合える余裕が羨ましいかな」  小さく苦笑しながらヨシュアはアイラに応えてみせる。  今のこの世界で生きる者であれば、大なり小なり抱えている過去がある。  そんな中にあって笑い合える、もしくは心から気を許せる相手がいることは幸せの部類に属する。  ヨシュアが失い、再び手にできていないソレをクロイツとロサリオは持っていた。  もっとも、それを表に出すヨシュアではない。  だから、まだ年若いアイラではヨシュアの内に吹く風には気付けない……。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加