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「らしくないですよぉ。ヨシュアさん」
らしくない……。
それはつまり、ヨシュアがつけた仮面通りの姿しか、アイラには見えていないことを意味した……。
「……前にも言わなかったかな。年上にはもうちょっと敬意を払うのが大人ってものだぞ」
「ちゃんと払ってますよ。それにわたしも言ったでしょう? 子供扱いしないでくださいって」
少し膨れっ面のアイラを見て、ヨシュアのイタズラ好きが顔を出した。
「困りましたね。それではまだまだ淑女というには程遠いようですよ。“お嬢様”」
その執事然とした立ち姿が妙に様になりすぎていて、アイラの顔が嫌そうに歪む。
逆にヨシュアはニヤリと笑みを浮かべた。
だが、“お嬢様”と口に出した一瞬、胸の奥がチクリとしたことには、あえて気づかないふりをした……。
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