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視界に何か黒っぽい布切れが現れるとそれが女の髪だと分かり、次に髪から覗かせる白黒のガラス玉が次第に女性の目だとゆっくり認識されて行きました…。
気が付くと友達は穴越しに女性と目を合わせていました。
ドンドンドンッ!!!
次の瞬間、誰かが友達の部屋のドアを激しく叩きつけました。
友達は驚いてすぐ押入れから飛び出し、ドアに近付いて行きました。
誰だろう?もしかしたら隣の人かも…。
友達は恐る恐るドアを開けました。
するとそこにいたのは…
………【私】です。
引っ越し祝いに家飲みをする約束をしていたのです。
友達は【私】が買ってきたビールには目もくれず、部屋から逃げるように近くのファミレスに【私】を連れていきました。
そして、今この話を聞いています…。
「やっぱちゃんと隣の人に謝るべきだよな…」
友達がそう言ってため息をついてる間、【私】の脳内にはある疑問がガムのように引っ付いて離れませんでした。
「おまえの部屋、階段上がって左側の角部屋だよな?」
「…ああ」
「押入れって部屋入って左側になかったっけ…?」
「………!」
【私】の言いたい事が分かったみたいで、この日の夜、友達は部屋に戻りませんでした…。
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