現実

8/13

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「ただいま。」 学校から帰っても玄関にあるのは私の上履きだけ。返事なんて返ってくるはずもない。 家に上がれば中は暗くて誰もいないリビング。 理由は簡単。私の両親は共働きで滅多に顔を合わす事がなかったから。 ほとんど1人で暮らしてるようなものだった。 昔は楽しかったなぁ。 帰ってきたらお母さんがいて笑顔で迎えてくれて。 おかえりって何気ない言葉がとても恋しいよ。 でもお父さんがある時に借金してうちにはその日からその幸せが音を立てて崩れていった。 思い出すだけでも自分の心が締め付けられていく。 壁に飾ってある時計を見るともぅアルバイトの時間までそんなに無い。 私はアルバイトで使う制服をバックに入れて新しい靴を出して家を出た。 家からアルバイト先の飲食店まではあまり離れていないから通勤にはあんまり時間を使わない。 時給も高校生で雇ってくれる中ではそれなりに良い方だから高校生にしてはそれなりに稼いでる方だと思う。 まぁ、カイリのご飯代と家に入れるお金、私の生活費であまり手元には残らないんだけどね。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加