第一章 戦いは、認めなければ始まらない。

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「遅いよ、蒼海っ」  準備を整えてから玄関を出ると、そこには変わらずの笑顔を浮かべるリアの姿があった。  着替えるのにはたいして時間がかからなかったのだが、せっかく外で食べるのだからと思って探したレジャーシートを見つけるのに時間がかかってしまい、結果としてリアを三十分ほど待たせることになってしまったのだ。 「悪い悪い。倉庫の奥を探してたらやっと見つけてさ。遅くなっちまった」  でもこれで外で食べられるぜ、というと、リアはうれしそうに笑った。 「蒼海はこだわるねえ」  空は今、雲という雲を掃除機で吸い取ったかのようにきれいで、見ていて心地がいい。リアも、 「きれいな空だね~」 と同じようなことを言った。  空を見上げたまま歩き出して数歩しないうちに、慌てたようにリアは俺を見て、尋ねた。 「店の鍵、閉めた?」  今日はお姉ちゃんもいないから閉め忘れたら大変だよ、と。何度かそういうミスを自分がやってしまっているからだろう。 「ああ、閉めた。レジャーシート取ってくるついでに、倉庫も閉めておいたから、大丈夫」  ああ、よかった――安堵するリア。  それじゃ行こうか。そういってゆっくりと、歩き始めた。
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