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いつだったか雑誌売りに聞いたことがある。
街には大きく分けて三つの種類があり、それは、魔法重視、科学重視、魔法科学混合という、町の方針による違いなのだと。
俺たちの住む町は基本的に魔法を使わず、科学的なものに頼って構成されている。
交通手段はガソリンで動く自動車だし、料理の加熱もガス、少ないけど電気を使うことだってある。唯一魔法を使うものと言ったら、夜の道を照らしたりする、魔光灯か。ガス灯を使っていたら火事になったので、町が方針を変えたのだ。
「聞けば、結構変わるみたいだぜ、街並みってやつはさ」
「うん。魔法寄りの町には、道路に車じゃなくて箒が通ってたりもするみたいだよ」
「ああ、聞いたことあるな。どうやって交通整備するのか、不思議だよな」
だよねえ、とリアは笑い、すぐに前へと向き直った。どうやら、神社に行くのを結構楽しみにしているらしい。鼻歌交じりにスキップなんて踏んでいる。
しかし唐突に立ち止まり、リアは空を見上げてつぶやいた。
「魔法、かあ……」
その言葉になんの想いがあるのかわからなくはなかったが、あえてコメントする必要なんてないだろうと判断し、すぐにまたスキップを踏み出したリアの歩調に、俺も足を速めた。
神社は家からに十分ほど歩いたところから始まる山道の途中に存在する。
さほど山らしい山ではないが、その山はあくまで奥に連なる山脈の始まりに過ぎないため、あまり人はいない。人が多くなる時と言えば、大晦日か元旦の時くらいだ。この辺りは、あまり宗教が強いところではない。
風に揺られる木の葉が、心地いい音を立てる。木の葉から漏れ出す日の光は優しく、朝早くからハイキングをしている俺にとってはなんともありがたいことだった。
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