心優

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 真司の家でモノがなくなることは日常茶飯事だったので、飛車がなくなってからは、この石が飛車のかわりになっている。  真司の口から女の子の名前が出たことに少し嫉妬してうつむいていた私に、真司は『金』を見せた。 「この駒は俺だな。『金』は王様を守る駒だろ。それで、お前はこれ。」 真司が私に手渡した駒が『王』だったのを見て、恥ずかしくて結局うつむいた顔を上げることは出来なかった。
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