28人が本棚に入れています
本棚に追加
相手を判別できた時、落胆と怒りで表情が歪んだ。
入ってきたのは真司ではなかった。
私をこの納屋に縛り閉じ込めた…
(真司じゃない。アイツだ…。)
アイツは口を、もそもそと動かしている。
何かしゃべり掛けているのだろう。話を終え笑っていた。
「あ"あ"あぁぁぁ」
残っていたわずかな力を込めロープを振りほどこうと暴れた。
壁に映る影は、ぶんぶんっと上体を激しく揺らしていたが、やがて力なくうなだれた。
それを見ていたアイツは今度は全身で笑い始めた。
そして、私の背後で何かを始め、それが終わると、また、ゆっくりとした動きで扉を開け外にでた。
最初のコメントを投稿しよう!