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アイツは私に向かって言葉をかけ、扉をガンっと閉めた。
今度は唇の動きを理解できた。
「だああああああぁぁー!」
怒りに身をまかせ、今までで一番強く身体を揺すった。
でも、すぐ暗い納屋が今までより明るいことを不思議に思い、動きを緩めた。
壁に映る影は次第に大きくなり、ゆらゆらと揺れている。
バチっと手に痛みを覚えた。
それでやっと納屋に火がつけられたのだとわかった。
火はまたたく間に納屋全体に広がり、影もそれに呼応するように大きくなった。
生きていく上で死はすぐそばにあるということを今までの短い人生から理解はしていた。
しかし、いまそれに直面した時、想像していた恐怖との違いに目を閉ざした。
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