心優

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 目を開くと、いまや納屋全体にまで広がった影は、まるで独立した意志を持つ別の生き物のように大きく大きく揺れ、ついには立ち上がり、まるで踊るようにくるくるとまわり出した。  それは火が全身にまわり、ロープは焼け落ち、痛みと息ができない苦しみで悶えている自分の姿だった。  やがて影は地面に膝まつき 抱き抱えるように小さく丸まり ビクンっと一度はじけるように震え もう動くことはなかった。
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