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四歳になった時、なんていう病気なのかは難しくてわからなかったが高熱で二週間ほど入院した。
凄く寒かった記憶がある。
体温が下がってきて身体が楽になってきた時、残されていた微かな世界の音は完全に消えていた。
ベッドの脇でずっと泣いている母を不憫に思い、私はその手をそっと握った。
私は音は聴こえなかったが、それほど不幸とは思ってはいなかった。
生まれた時からそうだったし、これが私の『普通』だから。
それに真司はいつもそばにいてくれた。
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