心優

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 真司は向かいの家に住む二つ年上の男の子だけど、同じ小学校ではなかったからか、お兄ちゃんって感じはしなかった。 近くの健常者が行く小学校の五年生で、私の同級生達と比べても、誰より優しく、誰より私を理解した。 それは私の両親と比べても変わらなかった。  真司はいつも授業が終わると、すぐに家に迎えに来てくれる。 チャイムの音が聴こえない私は、学校から帰るとずっと玄関で待つことにしている。 母は、真司が来たらすぐ呼んであげるから部屋で待ってなさいと言っていたが、私は絶対に玄関から動かなかった。 真司はものごころついた時からそばにいて、それが私の『普通』になっている。
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