記憶

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「わかったわ、私はお父さんを急いで呼びに行ってくるからハルちゃんは巫女さん連れて隠れててね。無茶しちゃだめだよ。」 俺が頷くと、ナギは走って道場へ戻っていった。 それを確認した俺は、巫女さんを神社を囲う石垣に寄りかからせ、近くに落ちていた太めの木の棒を手に取ると、俺は何かを決心したかのように、神社へと向かった。 神社の本道前の砂利が引き詰められた広場に着いた。 すると、神社の本堂が開かれ数人の男たちが現れた。と、同時に俺の目に入ってきたものが俺の気持ちを揺るがした。 本堂から現れたのは、ボロ切れのような服を身にまとった男たちだった。 「へへっ、ついに手にいれたぜ」 真ん中にいる男の片手には、ぐったりとしたシグレが抱えられており、逆の手には綺麗に装飾された青い刀が握られていた。 「……し、ぐれ……しぐれぇぇぇ!!」 俺の叫びに刀狩りたちが一斉に俺を見てきた。 「あぁ? なんだこのガキ」 恐くないわけがない。俺にどうこうできる相手ではないことぐらいわかっている。だけど、シグレが……俺の妹が、危ない。俺は、なんのために剣術を習っているんだ! 「その子を……妹を返せっ!!」構えた棒を握る手が震え、体から汗がにじみ出てる。怖くて怖くて堪らない。 「はははっ、こいつ木の棒なんかで俺らとやり合うつもりだぞ」 シグレを抱えた刀狩りが高笑いすると、周りの刀狩りたちも同様に笑いはじめた。 「この可愛い巫女ちゃんは、お前の妹か。宝剣を奪ったついでにこいつも貰っていく、悪いなガキ」 その言葉に不意に手の震えが止まった。と同時に、足が勝手に刀狩りの方へと走りだしていた。 「本当にやる気かよ、誰かガキの遊び相手してやれ」 すると、服を着崩した細見の刀狩りが本堂から出てきた。 「おじちゃんが相手してあげるよ、ボーヤ」 再び高笑いする刀狩りたちだが、俺の耳には入ってこなかった。細見の刀狩りは腰の刀を抜かず、素手で立ち構えて、不敵な笑みをうかべた。 そんな相手に俺は体の動くがままに、棒を振った。 武器といえど、木の棒では打撃にしかならず、それも大したダメージにはならない。そのことから急所に狙いを定めた。
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