記憶

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先に前蹴りをしてきた刀狩りの攻撃を避け、軸足のスネを木の棒で勢いよく払うと、呻き声と同時に刀狩りがバランスを崩し、倒れた。 「うぅぅいってぇぇ、クソガキがぁ!!」 「ぐわっ!!」 刀狩りは体勢を崩しながらも、殴りかかってきて、その拳は俺の頬に当たり殴り飛ばされた。 しかし、ここで刀を抜かれては勝ち目がない。俺は透かさず体勢を立て直し、倒れている刀狩りのコメカミ目掛けて木の棒を横に降った。 「なめるなよ」 頭に当たる寸前で、棒を掴んできた。だが…… ──ドンッ── 刀狩りの頭に強い衝撃が加えられた。 刀狩りが掴んだ棒は俺の残刀剣技(ざんとうけんぎ)による偽物。振った棒は刀狩りのコメカミを捉えた。 吹き飛んだ刀狩りは、地面に倒れそのまま動かなくなってしまった。 「おいおい、マジかよ」 本堂にいる残りの刀狩りたちは目を疑った。棒を持った子供に仲間が殺されたのだ。そして、刀狩りたちは腰の刀に手をかけると、一斉に刀を抜きはじめた。 銀色に光る刃を前に、再び体が恐怖を思いだし震えだした。今更殴られた頬が痛みだす。口の中も切れて血の味がする。 ほとんど木刀しか持ったことのない俺にとって、刃をもった抜き身の刀を向けられることが、これほどの恐いものだとは思わなかった。 木刀と違って当たれば致命傷、もしくは死。そのことが頭を駆け回り震えが大きくなる。 シグレを助けたい。死にたくない。この2つが俺を追い詰める。 と、そのとき ぽんっと、頭に温もりを感じた。すると、強張った体の力が一気に抜け、震えも止まり、膝から崩れ落ちた。 見上げると、麻布で体を覆い、背中に刀を背負った者が立っていた。顔は布をフードのようにして被っているため見えないが、頭に置かれたその者の手は大きく、気持ちが落ち着くようだった。 「よく頑張ったな、あとは任せてくれ」 その者はそれだけ言うと、本堂の方へと歩み寄っていった。 「あぁ? なんだてめぇ」
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