記憶

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火花が散りながら刀同士が金属音を打ち鳴らす。影人形の素早い2対の刀の動きにも平然と捌いていく刀狩り。もはや、さっきまでの素人紛いな残党くずれの動きとは、思えないような身のこなし。 影人形が後方に距離をおくと同時に、地面に2対に刀を突き刺した。すると、刀の影が生きたヒモのように動きだし、刀狩り目掛けて伸びていった。 「遅い」 影のヒモが刀狩りを捕らえる目前に、刀狩りは翼を大きく広げ、空へと飛んで回避した。 影人形が刀を地面に刺さしている隙に、空に飛んだ刀狩りは青龍宝剣を構え、影人形目掛けて急降下していった。 刀狩りの青龍宝剣が影人形の脇腹をエグるように切り裂き、刀狩りは勢いよく影人形を突き抜け、後方へと降り立った。そのあまりの勢いに地面がエグれ、砂ぼこりが舞う。 俺は、気絶したままのシグレを庇うように、覆い被さると同時に、砂ぼこりが俺たちをも襲う。 「はー、スゲー。青龍宝剣これほどまでとは」 影人形の右脇腹に風穴があくように凄まじい突進攻撃。ぐらついた影人形は、灰が風に吹かれて散るように倒れながら、消えていった。 「さぁ、雑魚は消してやったぜ。本体も身体に風穴あけてやるよ!」 青龍宝剣を肩に担ぎながら、刀狩りは仁王立ちで、麻布の者にふんぞり返るようにして立っていた。 時折龍の尻尾を左右に振りながら、兜の下からでも余裕の顔が伺える。 そんな刀狩りに、麻布の者が言い放った。 「いや、時間切れだ」 「はぁ?何言ってやがる。頭でも可笑しくなったか? うっ…ぐはっ!」 突如、吐血する刀狩り。ふらつきながら何とか刀を地面に刺し、身体が倒れないように支えているようす。 「て……てめぇ、何をしやがった……ガハッ」 「何も。まぁ、1つ言えることは、素人が《四神宝剣(ししんほうけん)》なんざを使うとどうなるか……わかりきってることさ」 西()宿宿 「所詮、力なき者が扱える代物ではないということだ」 「ゲホッゲホッ」 刀狩りは、膝をつき鎧が軋む。みるみるうちに弱体化していく刀狩りは身体を支えることさえ叶わず、ついに地面にうつ伏せに倒れた。
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