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それでも私が彼を勝手にずっと好きでいられたのは、彼が毎週花を買いに来てくれたからだった。
私は、それを彼の好きな人に感謝すべきだろうか。
そんなことを考えた日もあった。
彼はお客さんで、私は花屋の店員。そんな関係がずっと続くわけもなく…
彼はある日ピタッとコーヒーを買いにも花を買いにも来なくなった。
私は、やっと彼への片思いにさよなら出来るかもしれない!と思った。
日が経つにつれて私は、少しはヒョクのことを考えない日が増えてきた。
ヒョクを忘れていくことを哀しくは感じなかった。逆に嬉しかった。
だって、まだ本気で恋をしたことがない私には苦しくてたまらない日々だったから。
けれど、ある日ヒョクは雨に濡れながらお店に現れた。
雨に濡れ切ない顔をしてる彼を見たら、私が勝手に彼を忘れてきてると勘違いしていただけなんだとすぐに確信してしまった。
濡れながら、いつも買っていた花を見つめる彼は…
彼がお店に来なくなってからの私を見ているようで声をかけられなかった。
私がそんなヒョクを見つめていると、ヒョクが振り返った。
目が合うと、私の身体は固まったように動かなくなる。
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