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動かなくなった身体に思い切り力を入れて私は泣き出しそうな顔で笑うことしか出来なかった。
「お久しぶりです…」
やっと口から出た言葉も気の効かないこんな言葉で、私は自分に嫌気がさした。
けれど、切ない顔をしていた彼が私を見て笑っている。
「ハヌルちゃん。大丈夫?すごい顔してるよ?」
そう言って笑ったヒョクを見て、私も笑うしかなかった。
「ヒョクが哀しい顔をしてたみたいだから…」
私は、笑っていた彼につい思っていた言葉を放ってしまった。
一瞬、ヒョクの顔が曇った気がしたけど
「ここに来て正解だったよ。ハヌルちゃんに元気をもらった。ありがとう。」
とヒョクは泣きそうな顔で笑った。
その日から、私たちは急激に仲良くなった。
ヒョクの時間が空くとご飯を食べに行ったり、変装して映画を見に行ったりと学校とバイトの時間以外はヒョクと2人で過ごすのが私の日常になっていた。
でも、彼はあの日の事は一言も話すことはなかった。
そして、私も出来れば聞きたくないから聞くこともしなかった。
でも、私はこの時にヒョクの気持ちを知っていたなら今こんなに苦しくなかったかな?
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