6人が本棚に入れています
本棚に追加
カフェに来る彼を初めて見た日からどのくらい経った頃だろう。
彼が笑顔でコーヒーを抱えてる姿を見ていたら、彼と目が合った。
私は慌てて店内に逃げると深呼吸をした。
「ビックリした。目が合っちゃったよ~。気づいたかな?」
私が、独り言のように話すと
「やっぱりこっち見てたんだ?」
後ろから声がして振り返ると彼が店内に立っていて、
私は慌てて派手に転んでしまった。
そんな私を笑い、そして彼は私に手を差し伸べる。
「大丈夫?立てる?」
私は、恥ずかしくて俯いたけどそれでも引っ込めない彼の手にそっと手を差し伸べた。
彼に引っ張られ立ち上がると、私はあやまるしか方法がなくてチラッと彼に視線を送り
「すみません…」
と言うと彼がコーヒーを抱えて帰る時と少し違うけど笑顔を見せた。
「何が?俺を見てたこと?それとも転んだこと?」
彼が目尻にシワを作りながら笑って聞くから
「どっちも…です。」
と私も笑ってしまう。
それが私が初めてヒョクと交わした会話だった。
今でもあの時のことを鮮明に覚えている。
私はあの瞬間から本気でヒョクが好きだったんだと思う。
そう考えると私って単純過ぎるかも。
.
最初のコメントを投稿しよう!