プロローグ

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例えば、知り合いの『自己犠牲』 なぜかはわからないが、自分をそこまで強く思わず、なにはともあれ第一に、他人の役に立つ、ことを置く彼女 不可思議なやつではあるが、大人しく、僕としても嫌いな人種ではない 例えば似たものどうしの、『敗北者』 僕がただ存在するだけの人間であるのとは違い、彼女はただただ棄権する 全てを放棄し、なにもかもあきらめ、勝率なんて無に還し、敗北を唯一無二の友人として過ごす サレンダーの権化であり、僕との鏡写しだ ・・・・・・、まあ、ただただ面倒くさがり、といえば済むだけのことなのかも知れないが そういう『彼ら』だからこそ、僕と一緒にいられたのだろう。僕なんかを見つけることが出来るのだろう いってみれば、彼らはそれぞれを『区別』できる、珍しい存在だ。かならず登場人物として現れ、全てをしっちゃかめっちゃかにかき回す道化質の奴らだ つまり、僕のような凡人とは、間違っても誤っても吊りあわない様な個人たるものたち そういう彼らと過ごす僕は、なんの言われもなくただただ、平凡で、ありきたりで、凡俗で、普通な生き物 これはいわゆる、一つの観察日記のようなものだ―――
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