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名前も性別も年齢も外見も血液型も星座も干支も、僕のような在り来たりには必要ない。いってみればそれは、1コマしか登場しないモブキャラのプロフィールを知りたがるようなものだ
故に、僕はここで名乗ったりなんかしないし、自己紹介なんておこがましくて出来やしない。いいとこエキストラの役割である、『誰でも言える台詞』を吐かされて終りだろう
とはいえ、一応愛称かなにかがないと、この先大変不便だろう。なので僕はこの話の中では、『悠』と名乗らせてもらおう。もちろん、本名なんかじゃない
そして僕、なによりも普通な僕が、これから体験する出来事は、異常で異質で不可解で、しかし意外と良く聞く出来事
いうなればそれはテンプレートというモノなのだろうが、ところがそう現実はうまく行かない
まあ、そうじらすことでもなく、僕は異世界とやらに吸い込まれることになるのだが、それはまあ、言うなれば世界の裏側のできごとであって、決してこういう風に公になる事ではない
さぁ、ではその舞台裏をのぞこう
なによりも英雄譚で、何よりも美譚で、なによりも勧善懲悪で、なによりも悪を嫌い、なによりも負けず、なによりも格好いい、そんなヒーローたちの舞台裏だ
しかしとはいえ、それを語るには観察者たる僕が、どうしてそういう、剣と魔法の異世界などという、ファンタジックかつファンシーかつファンキーな、存在そのものが嘘とされるような世界に行ったか? それを語る必要がある
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