◆傍観者と街◆

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「あのな、ルマちゃん。なんやしらんけど、俺らの馬車盗まれてもうたんよ。せやから街まで送ってってもらってもええかなぁ?」 「もちろんです! かの天才放浪者様と一緒に居られる時間が増えるならいくらでも!」 なんだ? もしかして、ルマさんだっけ? この人、リランに憧れでもしてるのか? そういう尊敬の念がひしひしと伝わってくるんだけど 当のリランはそれに気づかないようだが。あれだ、主人公特有の鈍感スキルだ 僕はそういうのは好きじゃないが、リランはアプローチとかされれば気付くので、携帯小説なんかに出てくる主人公のようには、嫌ってない。あくまで、「空気読めない」のレベルだ 「なぁ、リラン」 「なんや悠」 「僕も送ってもらえるのか? 一人だけ徒歩はきつい物があるぞ」 「どうなん? ルマちゃん」 「ちっ・・・・・・、ええ、もちろんいいですよ」 ならばその舌打ちはなんだ。聞こえてないとでも思ったか。そしてその睨みは何だ。気付いてないとでも思ったか やはりこちらに来て、嫌われスキルが付いたようだ。僕も元々、人間嫌いって程じゃないが、人は好きじゃなかったので、丁度いいといえばちょうどいいが
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