プロローグ

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それは何を隠そう、ただの事故であり、世界のゆがみ修正であり、世界のひずみ整備であり、なによりただの偶然という名の必然だった 言ってみれば好奇心。言ってみれば間違え。言ってみれば吸い込まれ よくあるような、巻き込まれでも、勇者召還でも、ましてや神様の手違いやミスでもなく、ただ、そこに偶然たまたま居たから吸い込まれた、というような存続 それもまた運命。物語の一つ。そういえるなら言いたいところだが、僕は物語なんかに登場できる人物でもなければ、運命なんかに目を付けられる存在でもない まあ、運命に抗おうともしない、ただの臆病者な脆弱者ともいえるんだけど さて、僕がその、一生に一回体験できるか出来ないかの不可思議を味わったのは、つい昨日のことである。三十分前だろうが、零時を過ぎているのだから『昨日』であっているはずだ、と、いうのは嘘だが。どこからどこまでが嘘かは、諸君の采配に任せる。まあ、そのうち明らかにいはなるだろう 別にこういう出来事は、説明せずともみな脳内補完で分かっているのだろうが、これはこうあった、と説明しないわけにももちろん行かない 面倒なので読み飛ばしてもいいが、それは各自個人の判断に任せることにしよう。僕が知ったことじゃない もはや覚える必要性もない運命の日。とは名ばかりの、ただの分岐点だった日 一応学生である僕は、学校帰りの黄昏道を、ただ一人で歩いていた。なにを隠そう友人が少ないのだ
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