辛い過去と女嫌い

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そして翌日の日曜日。 俺は光との約束通り、待ち合わせ場所に来たのだが… 奴の姿がない そろそろメールでもしようかと思ったとき、光は来た。 「じゃあ、行こうか」 語尾に音符マークが付きそうなほど、ルンルンな光が告げる。 ……。 謝らないんかい… 俺も光も部活はバスケだ。 中学生3年生の俺たちは大会に向けて一緒懸命練習している。 そんな中、光は雑なプレーのせいでバッシュがボロボロになってしまったのだ。 光の異名は「コート上の殺人鬼」 なんか怖いのだか… ものすごい力で相手チームを圧倒して、エースとの競り合いで遠慮をしないために数多くのケガを負わせているから ということでこんな異名がついたらしい。 光は強い。確かに強い。 そろそろ新しいバッシュを買おうと決心したらしく、俺を呼んだのだ。 「てゆか、なんで俺なワケ? 彼女とか誘うだろ、普通」 「誰かさんと同じで独り身なんですー」 光は拗ねたように告げた。 実際、彰斗は愛美と付き合っているのだが… そのことは秘密になっている。 2人だけの、秘密に… この街にはスポーツ店が多い。 2、3軒回ってようやく良さそうなバッシュを発見。 「寂しい光くーん、これなんかどう?」 「寂しいは余計だ」 光はくすっと笑いなが俺を小突く。 「おー!!かっけぇ!!やっぱりお前センスいいな!!」 光はキャッキャッ騒ぎながら俺を誉める。 「もっと誉めてもいいけど、どうする?」 「ぬかせ」 そう言いながら、黒と赤が特徴的な少し高めのバッシュをもって会計を済ませた。
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