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「.......はい?」 「いや、だから、何もなかったよ」 千代子は総司の手のひら反しに いまだ理解できていない 「強いて言うなら、 目を開けたまま眠っていたこと位かな」 人形のようになってしまった 千代子は、 しゃべることなく、 ただじっとしていたので、 まるで眠っているようだと総司は 思っていた。 あながち間違いではないだろう。 千代子も半信半疑で そうでしたか、と 返事し、首をかしげる。 確かに、目を開けたまま寝る人なんて聞いたことないから、 簡単には信じられないし、 納得できないのだろう。 嫁入り前の娘が 目を開けたまま寝るなんて、 あまり人に見せるものでもない。 二度と酒を飲むなとはそういう意味だったのかもしれない 「どこへいこうかなあ、」 そんな千代子のことなど 気にするようすもなく、 総司は新しい話題を振る。 「.......千代子はどこへ行きたい?」 千代子は少し考えた後に 「組長の好きなところへ」 と答えた、 千代子からすれば、 昨日来たばかりの 知らない土地で 行きたい所などある筈もなく ただ、ずっと共に成長し 性格や好みが似た 総司の好きなところなら 自分も楽しめるだろうと思った。
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