上洛

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どれだけの時間が流れたのだろうか。 寒さが一層増してきた頃には、 千代子は疲れきっていた それにそろそろ巡察に行った 総司が帰ってくる頃だ、 千代子は木刀を持って、 屯所へと向かった。 千代子は井戸で顔を洗い、 門の方を見ると そこには既に浅葱色の 隊服がちらほら見え始めていた。 千代子は急いで顔を拭い、 門へ走ると、 ちょうど総司が帰ってきた。 「おかえりなさいませ」 千代子がそう言うと 嬉しそうな顔で 「出迎えなんて.....いいのに」 といった、 出迎えしてくれることは 嬉しいのだが 寒いなか外に出すのは 嫌だった 「送ったら迎えるのは当たり前ですよ」 千代子は総司の心情が 分かりきっていた。 総司は優しい 千代子は総司が自分を思って 言ってくれた事もわかっている 「......ありがとう」 だが、やはり小姓としても迎えたいし 何より真っ先に無事を確認したいのだ
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