上洛

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少しずつ酒を進めるうちに、 なんだか気分がよくなってきた。 気がつけば、酒の瓶は、 何本も空いていて、 千代子は大分よってきていた、 それでも、少し眠たげだが、 特に大きな変化はない。 酔うとなにが起こるか、 千代子がそんな言い方するもんだから、 総司は変な期待をしていたが、 どうやらそれは期待のまま 終わりそうだった。 総司は子供のころから道場の者と 一緒に飲んでいたため、 酒には強く、よっぽど飲まないと 酔うことすらできなかった、 近藤も、どちらかと言うと やはり強い方で、 総司ほどではないが、 めったに酔わない。 「チコ、酔わないね」 総司は千代子に話しかけた、 だけど千代子は返事をしない。 酔い始めたのだろうか。 総司は思った 顔を覗けば、 大分お酒のせいで 顔は赤くなっており 眠たげな目は、今にも閉じそうだった
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