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「その、姉のような雰囲気にどうも親しみを持ってしまってね、つい気が揺るんで、相談なんてしてしまったんだ」
千代子は
「確かに、分かります....
それより、相談とは?」
と総司に続きを促す
「ほら、僕、千代子を江戸においてきたこと、後悔していたと言っていたでしょう?ずっと、やはり呼ぶべきかとか、迎えに行ったほうがいいのか、とか相談してしまって、」
千代子は、その総司の悩みが
少し嬉しかった
ほほが緩むのを堪えた。
「ついでに小さい頃からの思い出話もたくさん話してしまったから、彼女の前で2人でいるのが、どうにもはずかしくなってしまって」
「だからお松さんは私の名前が解ったのですね」
それとあの含み笑いも何となく理解できた
「確かに2人の思い出話を知られていては、少し気恥ずかしいですね」
千代子はお茶を一口すすると
息を吐き、空を見上げる
総司もつられて見た空は、
清々しい真っ青な空だった。
2人はいま、その青い空に
思い出を浮かべては懐かしんでいた。
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