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「そういえば、千代子は暗闇が苦手だったね、懐かしいなあ、」 総司が持ちかけた話題には 嫌な思い出しか浮かばなかった、 「ほら、あの家のすぐそばにあった、夜になると真っ暗になる通りがあったの、覚えている?」 「ええ、覚えています」 小さい頃から 千代子はその道が大嫌いで、 昼でもあまり通りたがらなかった 「遊んだ帰りに日が沈んでしまって 真っ暗なあの道を通ったことが何回かあったなあ」 「ありましたね、いまでも本当によく覚えていますよ、身の毛がよだつあの感覚も、はっきりと」 「本当に怖がっていたからね、いつも気丈なチコが怯えて僕の腕にすがり付くもんだから、あそこを通るのもひとつの楽しみだったんだ」 「組長、ひどいですよー」 たしかに千代子はブルブル震えて 総司の腕にしがみついたのを はっきりと覚えていた。 「今も苦手なの?暗闇」 「小さいときよりはましですが、やはり 少しこわいです」 千代子は軽く 暗所恐怖症であった。 だから大人になった今でも 少し暗闇が苦手である
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