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快晴が続く5月のある日。
あたし、奏枝 瑠璃は走っていた。
…それはもう全速力で
「蛍っ!雪乃ちゃんっ!!」
教室のドアを開けると同時にそう叫べばクラス中の注目を浴びた。
ゔっ…
「何、どうしたの?」
少し心配そうにあたしを見てくる鈴成 雪乃(すずなり ゆきの)ちゃんはあたしの親友。
整った顔立ちに抜群のスタイル。
これでもてない訳がない。
…ただ。
雪乃ちゃんはすこーし、腹黒い。
「…っこと…って…!!」
「何言ってるかわかんねぇよ」
雪乃ちゃんの隣で呆れた顔を向けてくるのは神崎 蛍祐(かんざき けいすけ)。
これまたあたしの親友で雪乃ちゃんの彼氏。
まぁまぁ整った顔に短めの明るい茶色の髪。
雪乃ちゃんとはかれこれ2年付き合ってる。
「…で、どうしたの?」
「こ、今年のSSって隣のクラスの橘 亮だよね」
「そうだよ」
唐突だけど、あたしの通う学校には変わった伝統?がある。
それは“SS”というものが存在する。
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