【1】声を聞かせて。

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宮澤さんは、スケジュールを調べているのか返答が遅い。 受話器からはスケジュール帳を捲(めく)る音がする。 『えーと、まあその辺はいつでも。 日にちはいつでも大丈夫なんだけど平日7時以降で。 土日は、何時からでも大丈夫』 「分かりました。 では一週間後以内にまたお電話さして貰っても大丈夫でしょうか?」 『はい。 あっ!そうだ! お名前聞かせて貰っても』 「わ、私ですか?」 突然、私の名前を聞かれてドキリとした。 『うん。そうだよ。 声からして僕とたいして年変わらなそうなのに、そんな畏まった口調…ちょっと嫌じゃない?』 「え…いや…そんな。 これは仕事ですし」 『そんな堅いこと言わないで』
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