【1】声を聞かせて。

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初めての出来事に困惑気味な私。 依頼人――宮澤さんは、よっぽど気さくな人なのだろう。 私と年が近いっていうことは…20代なのかな。 「そ、そんな! やっぱり無理です! そんなことしたら上司に何言われるか分かりません…」 受話器からは笑い声が漏れていた。 『じゃあ、普通に名字教えて』 それなら。 「松嵜……です」 『ありがとう松嵜さん』 ――ツーツーツー 電話が切れた音が鳴り響いた。 「あっ…」 思わず声が洩れてしまった。 忘れてた…。 依頼内容。
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