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その日の放課後。
あたしは田辺に偶然会った。
日直だったあたしは先生に日誌を渡し終え教室に戻る途中だった。
「おっ!夕花じゃん」
あたしの記憶の中の田辺の声とは全く違う別人の声だった。
「田辺」
「なんだよ。素っ気ねぇな」
目の前にいる田辺は、中学生の田辺ではなかった。
明るく染めた髪。右耳に空けたピアス。
「聞いたよ。田辺、彼女出来たんだって?」
「夕花、もう知ってんのかよ。
早いなあ。ってか照れる」
「何それ」
胸の中にモヤモヤしたものが生まれた。
「どうなの?
上手くいってるの?西野さんと」
「おお!絶好調!
俺の彼女、すっげぇ可愛いだろ?
だから恋敵が多くてさ。困るわ」
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