【2】田辺くん。

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その日の放課後。 あたしは田辺に偶然会った。 日直だったあたしは先生に日誌を渡し終え教室に戻る途中だった。 「おっ!夕花じゃん」 あたしの記憶の中の田辺の声とは全く違う別人の声だった。 「田辺」 「なんだよ。素っ気ねぇな」 目の前にいる田辺は、中学生の田辺ではなかった。 明るく染めた髪。右耳に空けたピアス。 「聞いたよ。田辺、彼女出来たんだって?」 「夕花、もう知ってんのかよ。 早いなあ。ってか照れる」 「何それ」 胸の中にモヤモヤしたものが生まれた。 「どうなの? 上手くいってるの?西野さんと」 「おお!絶好調! 俺の彼女、すっげぇ可愛いだろ? だから恋敵が多くてさ。困るわ」
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