【2】田辺くん。

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揚々と話す田辺を見てると苛立ってきた。 名前のないこの感情があたしの中をさ迷う。 「ふーん」 ぶっきらぼうに田辺に返事した。 「今から茉莉を迎えに行くんだ」 「西野さん何か部活入ってるの?」 「バドミントン」 「へぇ」 「ちっさいけど、機敏なんだぜ?サーブとかすんごいの」 「ほー」 「誰かさんとは違って俺の話ちゃんと聞いてくれるんだ」 「良かった良かった」 あたしたちは流れで靴箱まで一緒に行くことになった。 田辺は見上げるくらい背が伸びていた。 たった一年でこんなに男子って変わるんだ。 靴箱に着くと、栗色の髪を高い位置で結んだ小さな女子が立っていた。 「茉莉!」 田辺は私に会ったときの声とは全く違った弾んだ声を出した。 茉莉っていう名前にぴったりな可愛い女の子。 あたしもそんな名前が良かった。 だって夕花だよ? ありえないでしょ。 後ろを振り返った西野さんは、にこっと笑って田辺に手を振った。
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