【2】田辺くん。

12/13
528人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
田辺は、昔のように笑ってくれない。 私に求めているのは慰め? 「……田辺は、別れたいの?」 恐る恐る田辺に訊いた。 ドクン、ドクン、と心臓が波立つ。 「俺は……」 人気のない屋上は、あたし達の声がよく響く。 田辺がゴクン、と重い唾を呑み込んだ。 悲しみが後ろから追い越しそうだった。 聞きたくなくて。 その言葉を。 「……けど、嘘だったとしても。 俺は茉莉が告白してくれた時、嬉しかった」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!