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田辺は、昔のように笑ってくれない。
私に求めているのは慰め?
「……田辺は、別れたいの?」
恐る恐る田辺に訊いた。
ドクン、ドクン、と心臓が波立つ。
「俺は……」
人気のない屋上は、あたし達の声がよく響く。
田辺がゴクン、と重い唾を呑み込んだ。
悲しみが後ろから追い越しそうだった。
聞きたくなくて。
その言葉を。
「……けど、嘘だったとしても。
俺は茉莉が告白してくれた時、嬉しかった」
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