【3】まる。さんかく。しかく。

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「もう直ぐバレンタインだね」 E大付属高校の学生が、大きい声で彼氏らしい男の子と話している。 「何が欲しい?」 男の子は、ちょっと照れながら希望の品を口に出す。 この二人、全く知らない私でも分かるくらいお似合い。 小柄な彼女とは正反対に、彼氏は包み込むような体格。多分、部活、野球とかなんだろうな。 私は、そんな2人の会話を携帯の画面と交互に見る。携帯の中で繰り広げられる現実と目の前の夢物語の温度差。 「はあ…」 次の駅で降りていくカップルを眺めながら、ふと溜息をつく。 「お前、何、溜息ついてるんだよ」 「え、ああ。さっき前に座ってたカップルが羨ましいなって」 「なんだ。そんなことかよ。 由希奈も陣内と仲良くすればいいじゃん」 幼馴染の大輔は、自分のイヤホンをあたしの耳にかけてきた。 イヤホンからは、二年前くらいに流行ったロックバンドの曲が流れていた。
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