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大輔は、こうやって私に曲を聞かせるのが好きだ。昔っから、自分の好きなものを押し付けてくる習性がある。
「春くんは、元から優しいよ」
「じゃあ溜息つく必要なくね?
なんか、お前、今とさっきで発言矛盾してるんだけど」
「だから、優しすぎて、なんでも先回りしちゃうんだよ。けど、まあ、それが春くんの良いところなんだけど」
ああ。と、納得したように、大輔はiPodを弄る。
「大輔こそ、私と帰ってないで、千佳ちゃんと一緒に帰んなよ」
「んー。うん」
「何それ。もしかして、うまくいってないの?」
そういうと、大輔は、さっきよりももっとハードなロックに変えた。目を少し細めた。
「まあ、そんなとこ。それに、由希奈と帰るのは俺の日課だからな。千佳と付き合ってようがいまいが関係ねえ」
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